スタビリゼイションスプリントについて
単純挙上型スプリントをもとにしてスタビリゼイションスプリントを作成する方法について書きます。
A:スタビリゼイションスプリント作成のもとになる単純挙上型スプリントです。
B:切端咬合になるくらいまで咬み合わせを挙げるために前歯部に即時重合レジンを盛ります。
C:口腔内に装着したところです。
D:臼歯部の咬合面にレジンを盛ります。
E:口腔内に装着したところです。
F:咬み合わせが印記されたスプリントを口腔外に取り出します。
G:印記された咬頭の頂点のみを残して、まわりはテーブルのようにフラットにします。これにより、下顎の歯がスプリントに一点で当たるように調整します。
H:下顎の歯がスプリントに均一に当たっていることを確認します。
I:下顎前方運動時に臼歯部が干渉していないことを確認します。
J:右側方運動時
K:左側方運動時
L:左側方運動時、臼歯が干渉する場合は犬歯部にレジンを盛り、ガイダンスを付与します。
M:咬合面が滑沢になるように研磨します。
N:完成したスプリントを装着したところです。
咬合を挙げて特定の歯からの入力を遮断し顎関節を保護する目的で、このスプリントを使用します。(チャートでわかる顎関節症の診断と治療、医歯薬出版 より図引用)
単純挙上型スプリントについて

顎関節症の治療に使用するおもなスプリントには、昨日、お話した下顎前方整位型スプリントとスタビリゼイションスプリント
(全歯列接触型スプリント)があります。本日は、両者のスプリントを作る際の基本となる単純挙上型スプリントについて書きます。
A:上顎の印象をとって石膏模型を作ります。
B:スプリント用の厚さ1mmの硬質樹脂を使用します。
C:加圧形成器バイオスターを用いて硬質樹脂を石膏模型に圧接します。
D:歯冠部の最大豊隆部と歯頚部の中間部に油性マジックで切断線を書き入れます。
E:超音波カッターで切断線に沿って樹脂を切ります。部分的に切り取っていき、
スプリントを模型から取り外す際に無理がかからないように注意します。無理やり取り外すとスプリントが変形します。
F:余剰分のバリを研磨します。
G:きつくて痛いところがないか確認します。きついところは、スプリントの内面を削ります。
臼歯の内面を削りすぎるとゆるくなりすぎて、安定が悪くなります。その時は、
内面に即時重合レジンを盛り口腔内に装着し圧接して維持を良くします。
H:完成したスプリントです。
I:口腔内に装着したところです。
関節部の保護安静、また臼歯部の咬みしめに対する疼痛緩和の目的で使用します。
(チャートでわかる顎関節症の診断と治療、医歯薬出版 より図引用)
後方に落ち込んだ下顎骨を前方に整復するスプリント

下顎頭が関節円板から後方に外れないようにする目的で使用するスプリントが下顎前方整位型スプリントです。 この装置をはめて上下の歯をかみ合わせた時、顎が前方に維持されて、この位置では、関節円板が下顎頭の上にきちんとのっています。 装置の作成方法は以下の通りです。
A:まず、厚さ1mmの透明版を使用して、単純型挙上スプリントを作成します。
B:スプリントの咬合面にレジンを盛ります。
C:下顎が円板整位下顎位よりも後方にいかないように前歯部に斜面をつくります。
臼歯部には円板整位下顎位での下顎臼歯の咬頭頂が印記されます。
D:下顎の臼歯がスプリントに点接触するように印記された咬頭頂だけを残してスプリントのテーブル面をフラットにします。
E:完成したスプリントを口腔内に装着して前からみたところです。
F:横から見たところです。
装着状態では、どこから開閉口してもクリック音が発現しないことが大切です。
円板が下顎頭にしっかり乗った安静な状態を維持することが大切です。下顎位が安定してきたら、矯正治療や補綴治療で咬合を安定させます。
(チャートでわかる顎関節症の診断と治療、医歯薬出版 より図引用)
顎関節で音がする方の治療法は?

口を開閉口した際に、顎関節で音がする、 いわゆる復位性円板前方転位の方の治療法について書きます。
①:普通に咬み合わせたとき関節円板は下顎頭の前方にずれています。
②:そこで、大きく口を開けていくとカクッと音がなって、関節円板は正しい位置に戻ります。
通常の方法で、口を閉じると、またカクッと音がして再び関節円板は前方にずれてしまいます。そこで、
図に示すように顎を前に突き出しながら口を閉じます。
③: 顎を前に突き出すようにして口を閉じていくと上下の歯があたるまで咬んでも、カクッと音がしません。この時、 関節円板は正しい位置にあります。そこで、上下の歯をすり合わせながら、少しずつ顎を後ろに戻していきます。後ろに戻しすぎると再び、 カクッと音がして、関節円板はまた、前にズレ落ちてしまいます。この時は、②に戻って②、③の動作を繰り返します。
④:カクッとなるぎりぎりの位置(円板整位下顎位)を認識し、 できるだけいつも、この位置に下顎を保持しているよう心がけてください。
①、②、③、④の運動を毎食後、5分間繰り返してください。 この運動を通して、円板整位下顎位を認識し、一日のうちで可能な限り長い時間、この位置に下顎を保持するように努めると、 円板周囲組織が安静となって、円板が前にズレ落ちなくなリます。その結果、口の開閉時、関節部で発生していたクリック音がが消失します。 昼間は、この療法で対応できるのですが、就寝時は、無意識状態となるため顎が後ろに落ち込んでしまいます。 そこで下顎を前方に保持する目的で下顎前方整位型スプリントをつけておやすみいただきます。(チャートでわかる顎関節症の診断と治療、 医歯薬出版 より図引用)
明日は下顎前方整位型スプリントについて書いてみます。
関節部分で音がしませんか?
皆様、関節部分で、ポキポキ音がしていませんか?臨床でもっとも頻繁に遭遇する復位性円板前方転位かもしれません。では、この音は、いったい、どのようにして生じているのでしょうか?
A:は、正常な開閉口運動を示しています。お口を開いたり、閉じたりする際、関節円板と下顎骨の下顎頭は一体化した動きをして、関節円板が下顎頭から外れるということはありません。
B:は、復位性円板前方転位の場合の開閉口時の関節円板と下顎頭の動きを示しています。お口を閉じている時には、関節円板は下顎頭からはずれて前方に位置しております。お口が開くにつれて下顎頭も前方に移動し、関節円板が下顎頭の上に戻る時、下顎頭と関節円板がすれて”ポキッ”と音がします。その後、お口を閉じてまいりますと、また通常は非常に聴き取りにくい場合が多いのですが音がして、またふたたび関節円板が下顎頭からはずれて、前方にずれてしまいます。
以上の様に、お口を閉じた状態で、下顎頭から前方に、はずれていた関節円板が、一度、正常な位置に戻ることから、復位性円板前方転位という病名がついているのです。(チャートでわかる顎関節症の診断と治療、医歯薬出版 より図引用)
明日からは、治療法について書きます。
正常な顎関節


上左図:
正常な顎関節を示しています。下顎骨は、頭蓋骨の一部と関節をかたちづくり、
下顎骨に付着した筋肉が正常に作用することにより、食物をかみくだいたり、発話が可能となります。
上右図:
正常な顎関節の動きをアニメーションであらわしています。口が開く時は、下顎頭は、
その上に位置した関節円板とともに運動して円板から下顎頭が外れることはありません。