強い力が歯に作用した際の歯周組織の反応
歯に強い力が作用した場合、圧迫側の歯根膜内の血管は、押しつぶされて血流がなくなって、一部の歯根膜は壊死してしまいます(Bの赤い部分)。
血流がなくなり、歯根膜内に破骨細胞が現れることが出来ないため、歯槽骨内の骨髄側から破骨細胞があらわれ歯槽骨の内部から骨が吸収され壊死した歯根膜に到達します。
吸収が歯根膜の部分に及ばない時期には、歯はほとんど移動しません。そして、吸収が歯根膜におよぶと、突然、歯が大きく動きます。このように内部から歯槽骨が吸収されるその仕方を「穿下性吸収」といいます。この場合強い痛みを伴い、歯もぐらぐらと揺れます。
矯正治療で作用する力が強すぎる場合はこのような現象がおこり、歯根が吸収される場合もあります。ですから、歯に最適な弱い力を加えて痛みを抑え歯を安全、確実に動かすことが肝要です。
最適な強さの力が歯に作用した際に歯周組織に生じる反応
Aに示しますように歯は歯根膜というクッションの働きをする繊維により歯槽骨に結びつけられて支えられています。通常の機能力〈咀嚼などにより発生する)では歯は移動しませんが、矯正力などの移動に最適な力が作用しますと歯は歯槽骨の中を移動していきます。この現象を利用してがたがたに並んだ歯を移動して、きれいに配列します。
弱い最適な強さの力が歯に作用した際、周囲の歯周組織にはどのような反応が生じているのでしょうか?
Aの赤い四角の部分を拡大したものをBに示します。
歯に力が加わると、力の作用方向の歯根膜は圧迫され歯根膜腔は狭められます(圧迫側)。すると歯根膜と歯槽骨が接する部分に歯根膜の側から骨を溶かす働きもつ破骨細胞があらわれ歯槽骨表面を吸収するので、狭められた歯根膜腔が次第に広げられ元に戻ります。
一方、反対側では歯根膜がのびて牽引されます(牽引側)。
すると歯槽骨表面に骨芽細胞という細胞があらわれ、新しい骨を添加していき歯根膜腔が次第に狭められていき元に戻ります。
このように,骨の吸収と添加により、歯根膜の幅が一定に保たれながら歯が移動します。
弱い力が作用した際に歯根膜側から骨が吸収される仕組みを【骨の直接性吸収】と言います。この場合、痛みや不快感、歯の動揺は少なくゆっくり歯は移動していきます。