なぜ下顎骨は後方に落ちこみやすいの?

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下顎に付着する筋(咬筋、内側翼突筋)や下顎頭や関節円板に付着する筋(外側翼突筋)および靭帯や関節包などの軟組織は全体として、下顎を前方に保持している。こうして、関節円板の中央のくぼんだ部分に下顎頭がきっちり入り込み頭蓋骨にかたちづくられた関節のくぼみの前方に位置している。

直立歩行をしない動物では、重力の働きで、下顎は前方に出やすい。一方、人間は直立歩行をしているので、重力により下顎は後退しやすい。また筋や軟組織による下顎の前方保持機構は強力なものではないので、咬合が不調和になると、下顎は後方に落ち込みやすくなる。

矯正治療により引き起こされる咬合不調和の例として、過度の上顎前歯の舌側傾斜がある。上顎前歯を舌側に傾斜させすぎると、下顎の前歯が上顎の前歯に、異常に接触して、下顎の前方への動きが束縛され、結果、下顎は正常より後方に位置することとなる。この時、生体は筋などの緊張状態を変化させて、保障しようとする。結果、筋の異常緊張が誘発され、、さまざまな顎関節症状の引き金になる場合がある。

咬み合わせを大きく変えていく矯正歯科医の責任は非常に重く、矯正治療Ⅱ際しては、常に下顎の位置の変化に気を配り、注意深く治療を進めることが大切であると考える。 (MEAWを用いた矯正治療Ⅱ 佐藤貞雄 著 医歯薬出版より図引用)

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