側方運動のかなめ、犬歯の役割

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重力のはたらきで、後方に落ち込みやすい下顎を前方位に保つために、大臼歯、小臼歯が重要な働きをしていることについて書いてまいりました。

今日は、犬歯の働きについて考えてみます。

類人猿の時代より、威嚇や攻撃に使われていた歯で歯根も長く、強靭な歯であった犬歯は(A)、現代では、その威嚇や攻撃といった役割を失い歯列の中に入り込み主に審美的な役割をはたしています(B)

一方、機能的には下顎が側方に動く時、下顎犬歯が上顎犬歯の舌面を滑走し、下顎の側方への動きは犬歯により誘導されます。

犬歯萌出前は、上下顎の側切歯と小臼歯が接触滑走して下顎の側方への動きが誘導されますが、犬歯萌出後は、犬歯が中心となって、下顎の動きを誘導するようになります(C)

犬歯がはえてくると、下顎の動きを誘導する働きが側切歯、小臼歯から犬歯へと移り変わりますが、犬歯が下顎の動きを誘導することに何か利点があるのでしょうか?

上下顎の犬歯が接触する場合、上下の小臼歯、あるいは、大臼歯が接触する場合と比較して、有意に咬筋や側頭筋などの閉口筋の活動が有意に減少することが報告されています。すなわち、ストレス発散のためおこると考えられている歯軋りなどの際、上下顎の犬歯が主に接触することにより、強大な閉口筋の筋活動が減少し、歯質や歯周組織の破壊に予防的に作用すると考えられます。

正常な個体では上顎犬歯の舌面の誘導面の角度と関節結節後部斜面の角度はほぼ一致しています(D)。矯正治療で、犬歯を舌側に傾けすぎると、犬歯のあたり(干渉)を排除するようなブラキシズムが誘発され、犬歯の異常な唇側への傾斜がひきおこされたり、歯周組織の破壊が生じる場合もあります。

ですから、矯正治療では犬歯の傾斜、位置には細心の注意をはらいながら、、慎重に咬み合わせを作っていく必要があります。
(MEAWを用いた矯正治療Ⅱ 佐藤貞雄著 参照)。   

 

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