下顎を前方に保ち異常下顎運動時の害を抑える咬み合わせとは?
先日まで、後方に落ち込みやすい下顎を前方に保つには、どのように上下顎の歯をかませたらいいのか?歯軋りなどの異常下顎運動が生じているときに、どのような咬合に仕上げておけば、その害を最小限に抑えることができるかについて書いてきました。
今日は、今までの、まとめをします
【下顎を前方に保つための咬み合わせ】
①上下顎第一大臼歯の咬み合わせ
classⅠで、しっかりと上下の第一大臼歯をかませることが大切です。下顎第一大臼歯の頬側の遠心咬頭の遠心斜面が上顎第一大臼歯の斜走隆線の近心斜面に接することにより、下顎が後方に落ちこむのが防止され下顎が前方に保持されます。
②上下顎小臼歯の咬み合わせ
上顎小臼歯の舌側咬頭の近心斜面に下顎小臼歯の頬側咬頭を確実に滑走させることにより、下顎を前方に位置づけることができる。
③上下顎前歯の咬み合わせ
下顎の前方運動に際して、上顎前歯の舌面を下顎前歯の切端が滑走するので上顎前歯舌面の傾きが非常に重要となります。上顎前歯舌面の傾き(OG:Occlusal Guidance)が矢状顆路角(SCI:Sagital Condylar Inclination)より15°以上、急になると、前方運動において、下顎の後退が誘発されます。
【異常運動時に害を最小限に抑える咬み合わせ】
異常運動時にその害を最小限に抑えるには臼歯が離開するように咬み合わせを仕上げることが大切です。
①上顎前歯舌面の傾き
緩やか過ぎると臼歯が離開しにくくなります。
②スピーの彎曲
下顎の犬歯の尖頭から、小臼歯、大臼歯の咬頭をむすんだ彎曲です。前方や側方への異常運動で臼歯が離開しにくい症例ではスピーの彎曲を弱めにして、臼歯の離開をおこりやすくします。
③ウイルソンの彎曲
左右の頬舌咬頭を連ねた側方彎曲です。正常な個体では犬歯、第一小臼歯部で上に凸、第二小臼歯部で直線的、第一大臼歯、第二大臼歯部で下方に凸になっています。下方に凸の彎曲が強くなるほど、ウィルソン彎曲が強いと定義しています。彎曲が強いと臼歯のオクルーザルガイダンス(下顎臼歯の頬側咬頭が滑走する上顎臼歯の頬側咬頭の舌側斜面)の傾斜が緩やかになり、偏心運動時に臼歯が離開しにくくなります。すなわち、側方への異常運動で臼歯が離開しにくい症例では、ウイルソン彎曲を弱くして、臼歯のオクルーザルガイダンスを強くして、臼歯の離開を促します。
(MEAWを用いた矯正治療Ⅱ 佐藤貞雄著 図参照)
- 投稿者:andy
- 日時:00:02
comments
>下顎第一大臼歯の頬側の遠心咬頭の遠心斜面が上顎第一大臼歯の斜走隆線の近心斜面に接することにより、下顎が後方に落ちこむのが防止され下顎が前方に保持されます。
この理論は欧米の成書でよく見かけます。グラインディングタイプのモンゴロイドにこの咬合面形態を与えると、後方の干渉が生じ、顎は干渉を避けて前側方から入るようになります。その結果、前歯に損傷が生じることが予想されます。