治療変化(長顔型にみられた関節円板転位)

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筒井昌秀、照子著、クインテッセンス出版 包括歯科臨床 から 引用

治療前の状態については,昨日、くわしく説明いたしました。 

典型的な長顔型で、右側の関節の復位性関節円板前方転位の症例です。

まず、図に示すようなリポジショニングスプリント(後方に落ち込んでしまった右側の下顎頭を前方に引き出し関節円板にのせるための装置)を装着してもらいます。装置を装着している時は下顎が前方に位置して正常になりますが、装置をつけていないと、すぐに下顎が後方に落ち込んでしまい、右側の関節円板が前方に転位してしまいます。

そこで、、リポジショニングスプリントを装着していなくても、下顎が正常な位置に保持されるような咬合を矯正治療にて再構築いたします。

唇側に傾斜した上顎前歯を舌側に傾斜させるためのスペースを作る目的で、狭窄した上顎の歯列弓を拡大します。その後、マルチブラケット装置にて、歯を配列します。

左側は、正常なclassⅠの関係を確立することができましたが、右側はどうしてもclassⅡ関係になってしまい、下顎が後方に落ち込んでしまいます。

そこで、図に示しますようにハイブリッドの超硬質レジン冠を右側臼歯部に装着して咬合を挙げて下顎が後方に落ち込まないようにしました。

右側の関節円板前方転位では右側の関節頭の動きが制限されるため健側(正常な側)である左側での咀嚼がしにくくなります。
そこで、左側咀嚼経路の切歯点の動きの術前、術後の変化を図に示します。

術前は右側の関節頭の動きが悪いので、開口時、切歯点は右に引かれています。上顎左側第二大臼歯が頬側、、下顎左側第二大臼歯が舌側に傾斜しているために生じたB斜面での強い干渉のため咀嚼幅が狭くなっています(a)。

矯正治療後は左側臼歯部の干渉が除去されたために咀嚼幅は広がっています、しかし、右側の関節円板前方転位と下顎頭の後退は改善していないために、開口時に切歯点は、まだ右に引かれます(b)。

そこで右側臼歯に歯冠修復をして、右側下顎頭が後方に落ちこまないようにしてあげると、咀嚼幅は(b)よりもさらに広がり、開口時の切歯点の右側偏位は改善されています(c)。

最近、この症例のように長顔型で咬合力が弱く、関節にトラブルをかかえている若者が増加する傾向があります。現代の若者の特徴を十分把握した上で、診断や治療をおこなうことが肝要と考えられます。

 

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